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第18話 父のワインと、不穏な噂

Autor: marimo
last update Fecha de publicación: 2026-02-26 20:32:42

 富裕層、超富裕層のみが名を連ねる社交界では、噂はいつも静かに、だが確実に広がる。

 そして今、九条家と鷹宮家――若き夫婦の不仲説が、ささやき声の裏で育ち始めていた。

 パーティーの前日、九条玲司は鷹宮財閥の邸宅を訪れていた。

 綾乃の父、鷹宮正隆に呼び出されたのだ。

 驚くほどの広さを誇るリビングに通され、執事から差し出されたワイングラスを受け取る。

 玲司は一口でそれを飲み干した。

「……もっと味わって飲みたまえ」

 低く、重みのある声が背後から響く。

 振り返ると、正隆がワインボトルを指していた。

「これはシャトー・ムートン・ロートシルト 1990年だよ。

 せっかく婿殿が来たから、もてなそうと思って開けた」

 正隆が目線を送ると、執事は再び玲司のグラスに静かにワインを注いだ。

「お義父さんは、飲まれないのですか?」

 そう尋ねると、正隆は穏やかに笑った。

「きみのために開けたんだ。私は残りを少しいただくよ」

 そう言ってソファに腰を下ろし、向かいを示す。

 玲司もそれに従った。

 しばらく、正隆は何も言わず玲司の顔を見つめていたが、やがて口を開いた。

「結婚して、まだ半年ちょ
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